キセカト

語り

「……ど、……どうしよぅ、せんせ、……」
 わななく声が細く縋りつく。あの子がしていたみたいに、膝を抱えて、ちいさく身体を縮こめて。
 どんなものからも守ってやる。
 そんなつもりでいたけれど。
「……お、俺……俺、……カトラリーくんに、……ぼ、暴力を、振るっちゃうのかも、しれない」
 確信めいた声音を聞き届けた途端、ぎしりと音を立てて思考が止まった。

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