雑記

ポリアモリーを排斥したくない話と恋を否定はしたくない話

 ポリアモリーに優しくないような話しか書けなくてすまないと度々思いながら書ききっている。
 あまりにも“お前だけ特別!”みたいな作品が多くて認識が多くて、それこそが“恋”だという語られ方が多くて、どの人にも“特別”を抱くと最低の浮気者、恋を分かってない、分かれば、この人に向かうものだけがより“特別”でこれこそが“本物の”恋だったのだ! と“分かる”筈だ、というような言われ方がある。
 そういうのをずっと見ていると、俺がそこに薪を焼べたくないと思う。思うけれど、これは私がデミ寄りの思考をしていることが関係しているのかもしれないが、“お前だけ”みたいな雰囲気をストーリー中によく作ってしまう。でもデミロマンティックとポリアモリー、デミセクシュアルとポリアモリーは両立することだろうので「デミ思考だからこそ」って理由付けするのは間違いだろうな。
 だから僕がめちゃモノアモリー的に見えるSSを書いていてもそれは単に僕自身の好みというだけだ。でもそれが行きすぎてというか道を間違えて、ただでさえフィクションからすら不当に引っ叩かれ続けているみたいな属性を、重ねてなんの躊躇もなく炙っておきたくない。そんなことをしているフィクションを読む度に自分だって嫌だったのに、自分が書くもので同じことをして楽しい筈もない。自分は自分の好みと嫌悪を感じる点とをよく知っているから、自分で読む分には自分で補完して読めるだろとかも思うけど、一応僕が自分のSSを置いているのはネット上だし、それに幾ら作り手が自分であろうが一々頭の中で都合のいい言い訳を補完して読めみたいなことを要請してくる作品とか読んでて普通に苛っとするに決まっているので、なるべく、せめて自分自身は嫌な気持ちになったり落ち込んだりをしないような作品になるように、そういう形にできる限り近付けるように作っている。
 そして恋を否定したくはない話をする。以前の記事「司類SS『quoi』について」で話したことに補足が必要だと思った。
 僕が書いているのが専ら“男性同士の”話だからより言う必要があると思った。同性同士の“恋愛”はないものとされる。“性愛”もないものとされる。されていた、と言うことはまさかできないよなと思うくらい現在も普通に“ないもの”にされている。そういう様を僕も見ている。見ているから補足しなければならないと思った。
 僕自身の世界にたぶんだが“恋愛”はない。だから“恋愛脳”の気持ちや思考や生活は分からなくて、そんなことがあるのかーと全く理解も共感もできないけれど、そういうことが、現にあるのだそうだ。異性を好きになる人でもそうらしいし、同性を好きになる人もそうらしい。だから“恋愛”は“ある”のだ。ある人にとってはほんとうに“現にある”。現にある人の現を否定したいわけじゃなかった。
 したいわけじゃないという言い方は自分で嫌いなのでさっきから実はもにょっているけど、“してはならない”といきなり言っても気持ち悪いなあと思って前者の言い方を採ってしまった。ほかにないのか。言い方。お前の引き出しに。ないのか。
 それはともかく、ずっと、現にある筈の恋愛をないだろう、そんなものはないだろう、おかしいだろう、あるとか言うのはおかしいだろう、と言われ続けている人がいる世界で“恋愛の特権化をやめたい”と言った自分自身のことがすごく気持ち悪くて嫌だった。あの後に。でも異性にも同性にも恋がある、え? 恋がないなんておかしいよ、って言われる世界の住人だから私は、そこの目線であんなことを言ってしまった。
 あんなことって言ってしまったけど、間違いではないんだ。間違いではなかった筈。なんだ。ただ、言葉が足りなかっただけ、補足が必要だっただけだと思っている、思いたかったから、せめて補足をこうしてしている。しているのか……言葉になっていないが。それにただ言い訳をしているだけみたい。あれを読んで、楽になった、嫌な気持ちにならなかった、と言ってくれた人にも申し訳なくて、こんなふうに思うのが悔しくて俺はいったい何をしているんだろうか。でも“ちゃんとまとめてから”書こうとしたら絶対書かないと思った。それは嫌だと思った。だめとかじゃない。たぶん何をやっても足りてないし俺は間違ってるしちゃんとできてない。だからただ自分が嫌だから、あなたの“嫌な気持ちにならなかった”をほんとうにするためにも、今書けることを書けるだけでもいいから、実際に書いて、誰かの目に触れるように置いておこうと思った。
 これはそういう記事。
 『quoi』のあとに『Let me say I’m yours.』を書いたのは“恋”を書きたかったからで、それを書きながら「すまない……」と思ったからこの記事の前半部分がある。昨日の『それでも、世界に知ってほしい!』は司くんのその台詞を聞きたかっただけの思いつきだけれど、これは「司類」ではなくて「変人ワンツーフィニッシュ」だと僕がなぜか強固に思っていたのでそのカテゴリに加えた。
 いろんなことを書いてとにかく拡張というか、させて、変な固定化を見せないようにして、あっちで切り捨てたものはこっちで大事なものとして、書いて、とにかくいろんな形がほしい、可能性をあってほしいと思いながら書く。俺の好みはそこにあるから。これはこうだ、って言われたくないものに関してはさまざまに考えて、いろんな形にしたい。俺が萌えるように書きたい。
 いろいろといっても俺の好みの範疇になるので実際わりと狭いけれど、それでも考えが行き渡らなくて大変なのだから丁度いいといえば丁度いいんだろうか。
 ともかく、俺自身が読んで落ち込まない形、にいつもなるべく近付けるように、俺の同士が感じてくれた共感や安心をできれば後悔させずに済むように、できる範囲のことはできる分だけ毎回しておきたいな……と思う。これからも思おうと思う。
 おわり。読んでくれてありがとうございました。

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