ネロファウ東の国

俺の家族を紹介します。

「――とにかく、あんたが自分の都合に照らしたうえでここに来ることを決めてくれたように、俺らもあんたたちと暮らすことを、自分の都合に照らしたうえで決めた。そりゃ想定外の不都合があればお互い申し出るようにしたいけど、俺たちが人前で恋人としてどうこうできるたちじゃないってことくらいは、事前に当然分かりきってたことだ。それを引き受ける前提で、俺たちは、四人で生活することを選んだんだよ。
 それに……俺が恋してるのはファウストで、ファウストが恋をしてるのもきっと俺だけだけど、俺はもう、あんたたちのことも大好きだ。ファウストだって絶対そうだ。見てれば分かるだろ、あいつの態度とか、言葉とか、あれはそのまんま信じていいんだぜ。
 だからな、だから、ほんとに気にしなくていい。二人でばっかりいると、俺もあいつもお互いのことしか考えないから、きっとだめだったよ。あんたらがいてくれて、大好きなあんたらのことを二人でいろいろ考えて話し合ってる方がずっと……あー。違う。
 違うんだ。あんたらを言い訳にしたいわけでも、口実にしようとしてるわけでもなくって……。
 自分が邪魔かもしれないとか、そういうことは、絶対に、ここじゃ少しも考えなくていい。ヒースのことが大好きだからだ。俺も、ファウストも、ヒースのことが、シノのことが、もう本当に大好きになっちまったからだ。先生がどういうふうに言うかは分からんけど、少なくとも俺には、ヒースもシノもこの家に、俺の人生に絶対にいてほしい人だよ。だから……」

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